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量子ビットギャップ:論理量子ビットは96個。Bitcoinを破るのは約1,150個。

量子ハードウェアの現在地、Bitcoin/Ethereumの署名を破るのに必要な規模、そしてその一線を越えるロードマップ。

⚡ ひと目でわかる現状

96

検証済み論理量子ビットの世界記録(QuEra、Nature、2026年1月)

~1,152

既知で最も無駄のないECDSA攻撃回路に必要な論理量子ビット数(ecdsa.failフロンティア)

2028-30

主要ロードマップ(IonQ、Infleqtion、IBM、Oratomic)が閾値を越える時期

結論: ギャップはもはや1桁(約12倍)。量子ビット数、エラー率、誤り訂正符号、そして攻撃回路そのものと、あらゆる面で同時に縮まっており、主要チェーンの移行はどれも、最初のロードマップが閾値を越える前に完了する見込みが立っていません。

📏 ギャップ

Shorのアルゴリズムにとって意味を持つのは、論理(誤り訂正済み)量子ビットの数だけです。対数スケール:目盛りは1つ進むごとに前の10倍になります。

1101001k10kIBM1-2Infleqtion12Quantinuum94*QuEra96 ← 世界記録← 12倍の差 →Bitcoin突破ライン(約1,100〜1,425)約2時間での攻撃(6,500)

論理量子ビット(対数スケール)

攻撃対象論理量子ビット物理量子ビット(推定)ステータス
ECDSA-256(Bitcoin/Ethereum)最小1,098 → 1,152(ecdsa.fail)→ 1,200〜1,450(Google)50万未満(超伝導、Google)/ 約10,000〜26,000(中性原子、Oratomic)🔴 急速に接近中
RSA-20484,000〜6,19010万未満(qLDPC)〜800万(表面符号)🟡 タイムライン圧縮中
SHA-256マイニング(Groverのアルゴリズム)>8,000数千万🟢 優先度は低め

*Quantinuumの94は事後選択によるもので、検証済みの誤り訂正記録はQuEraの96です。いずれも低いコード距離での実証であり、攻撃回路には距離25以上が必要です。つまり数だけでなく品質もスケールしなければなりません(a16z、2025年12月)。

🗓️ タイムライン:ロードマップ vs. 閾値

論理量子ビットのロードマップと、約1,100〜1,425という攻撃閾値の比較

2026
  • 論理量子ビット96個を検証(QuEraの世界記録)
  • Quantinuumが94個で損益分岐点超え
  • ecdsa.failフロンティアが論理量子ビット1,152個に到達
2027
  • QuEraが論理100個・物理10,000個を目標
  • PsiQuantumが100万超のフォトニック量子ビットサイト(2027〜28年)
2028
  • 🔴 米国エネルギー省の目標(初の耐障害性量子コンピュータ)
  • IonQが論理1,600個(前倒しロードマップ)
2029
  • 🔴 Google自身が定めた移行期限(「Q-Dayの可能性あり」)
  • IBM Starling(論理200個)
2030
  • Quantinuum Apollo(完全耐障害性)
  • Infleqtion(論理1,000個)
  • IonQ(論理8,000個)
  • Oratomic + Monarch(「2020年代末までに」数千個の論理量子ビット)
2033
  • IBM Blue Jay(論理2,000個、あらゆるECDSA閾値を上回る)

読み方: 2026年の位置に並ぶのは確かな実証結果で、それ以降はすべて企業の目標値です。ロードマップは遅れるものですが、3つの異なるハードウェア方式にまたがる5つの独立した取り組みが2028〜2031年の間に赤い帯を越え、Googleと米国エネルギー省はその期間の内側に公式の期限を置いています。

🎯 基準線を引く3つのベンチマーク

Bitcoin/Ethereumの鍵を盗むのに何が必要か。それを定義するのが、2026年に出た3つの独立した成果です。3つとも従来の推定を大きく切り下げており、ハードルは今も下がり続けています。

1. Google Quantum AIホワイトペーパー(超伝導、2026年3月30日)

  • 論理量子ビット1,425個 × Toffoliゲート210万(ベンチマーク回路)。設計により1,200〜1,450個
  • 物理量子ビットは50万未満。約9分で鍵を導出し、Bitcoinの確認ウィンドウ内に収まります(攻撃全体で約18〜23分)。ゼロ知識証明で検証済み
  • 従来推定から約20分の1への削減。Googleは自社の移行期限を2029年に設定しました
  • ホワイトペーパー →

2. Oratomic(中性原子。論文は2026年3月31日、以降は企業としてスケール中)

  • 再構成可能な原子アレイ上の高レートqLDPC符号を用い、約10,000〜26,000個の物理原子量子ビットで暗号学的規模のShorのアルゴリズムを約10日で実行。同プラットフォームの従来推定からおよそ100分の1です(Cain et al., arXiv:2603.28627
  • 高レート符号なら、論理量子ビット1個あたりの物理量子ビットは最少3〜4個(表面符号では数百個)。可動式の原子が、この符号に不可欠な長距離接続を提供します
  • 論文だけでなく企業としても本物です。パサデナ拠点のCaltech/Harvardスピンアウト(CEOはDolev Bluvstein、共同創業者にManuel EndresとJohn Preskill)。ARCH、Spark Capital、Khosla Venturesの共同リードで3億ドルのシリーズAを調達(2026年7月)。Vinod Khoslaは自社史上最大の初回投資だと述べ、OpenAIになぞらえました
  • NISQ段階を完全に飛ばして耐障害性マシンを直接構築する方針。6,000超の原子アレイを含むコア部品は実証済みです。Monarch Quantumとの提携(2026年4月)は、2020年代末までに数千個の誤り訂正済み論理量子ビットを目指します
  • oratomic.com →

3. ecdsa.fail(Eigen Labsによる公開チャレンジ、ライブリーダーボード)

  • 研究者とAIエージェントがsecp256k1向けShor回路の縮小を競う公開アリーナ。スコアは量子ビット数 × Toffoliゲート数(小さいほど優秀)
  • 現在のフロンティア:論理量子ビット1,152個 × Toffoli 132万。Googleのベンチマーク回路を49.2%リードしています
  • 実際の攻撃ではありません。アルゴリズム上の下限が公開の場でリアルタイムに下がっていく様子を追跡するものです。新しいハードウェアが1台も出荷されなくても、ハードウェアに求められる水準は下がり続けます
  • ecdsa.fail →

🖥️ 今日のハードウェア

暗号資産のタイムラインにとって特に重要なプレイヤーをまとめました。論理量子ビットは「現在 / ロードマップ目標」で表示します。

企業方式物理論理(現在 / 目標)目標時期
QuEra中性原子448(デモ)96 / 1002026〜27
Quantinuumトラップイオン98(Helios)94* / 完全耐障害性(Apollo)2030
Infleqtion中性原子1,60012 / 1,0002030
IonQトラップイオン256(第6世代)0 / 1,600 → 8,0002028 / 2030
IBM超伝導156(Heron)1〜2 / 200 → 2,0002029 / 2033
Google超伝導105(Willow)閾値以下 / 実用FTマシン2029
Oratomic中性原子構築中(創業者らが6,000超の原子アレイを実証済み)0 / 数千(Monarchと共同)約2030
PsiQuantumフォトニック構築中0 / 100+(物理100万+)2027〜28
Atom Computing中性原子1,180まだなし / 50(Magne)2026年後半
USTC(中国)超伝導107閾値以下 / スケーリング中未定
MicrosoftトポロジカルMajorana 1R&D(初の読み出し、2026年2月)「数十年ではなく数年」

*事後選択、損益分岐点超え。D-Wave(アニーリング)は除外しています。アニーリングではShorのアルゴリズムを実行できません。

💥 これは暗号資産にとって何を意味するのか

  1. 1約690万BTC(約4,700億ドル)が、公開鍵がすでに露出したアドレス(P2PK、再利用、Taproot)に存在します。今後どんなアップグレードをしても守れません。2009年から露出したままのSatoshiの約100万BTCも含まれます。
  2. 2「今収集して後で復号化(HNDL)」はすでに進行中です。連邦準備制度は、敵対者が将来の復号を狙って今日のブロックチェーンデータを記録していることを確認しました。一度収集されたデータを取り戻す方法はありません。
  3. 3送金のたびに窓が開きます。Googleのホワイトペーパーは、約10分のメンプールウィンドウを狙うon-spend攻撃の窃取成功率を約41%と推定しています。
  4. 4防御はまだ配備されていません。Bitcoin:BIP-360はBIPリポジトリに統合済み(2026年2月)、BTQテストネットは稼働中ですが、メインネット導入日は未定。Ethereum:ベースレイヤーの対策目標は2029年頃で、その上でアカウント、コントラクト、ブリッジ、L2の移行がさらに必要です。
  5. 5本当に時間がかかるのは移行です。Bitcoinの約1億9,000万のUTXOを約7 TPSで動かすと、移行だけでほぼ1年分のブロックを使い切る計算になります。上記の期限は、この移行が打ち勝たなければならないスケジュールです。

すでに保護済み: Quantum Resistant Ledger (QRL) は2018年からXMSS署名により量子安全を実現しています。QRL 2.0 (Zond)QRLよくある質問 もご覧ください。

今、何をすべきか?

  • アドレスは絶対に再利用しないでください。送金のたびに公開鍵が永久に露出します。
  • 対策の進捗を追ってください:BIP-360(Bitcoin)、Glamsterdam/Hegota(Ethereum)。
  • QRL / QRL 2.0 のような量子耐性の選択肢を検討してください。
  • 量子ニュースページで最新情報を入手してください。

⚠️ 注意点

  • 隠れたギャップはコード距離です。今日の記録(QuEraの96は距離4)は、Shorのアルゴリズムをエンドツーエンドで実行するのに必要な距離25以上をはるかに下回ります。数と品質の両方がスケールしなければなりませんが、記録は約1年で倍増しており、どちらも伸び続けています。
  • ロードマップは遅れます。上記の目標はすべて企業の見通しです。重要なのは個々の日付ではなく、複数の道筋が収束していくその全体像です。
  • 保守的な見方(Adam Back:20〜40年)も存在しますが、ますます少数派になっています。専門家のコンセンサスは今や2030〜2035年に集中し、公式目標(DOEの2028年、Googleの2029年)は2020年代の内側にあります。

📖 ミニ用語集

用語意味
物理量子ビット実際のハードウェアの量子ビット。エラーが起きやすい(操作あたり100分の1〜10,000分の1程度)。
論理量子ビット多数の物理量子ビットから誤り訂正によって作られる、信頼できる1個の量子ビット。Shorのアルゴリズムが必要とする単位です。
コード距離誤り訂正の強さの指標。現在の記録:距離4。攻撃に必要:25以上。
qLDPC符号物理量子ビットのオーバーヘッドを表面符号比で約10分の1(Oratomicによれば3〜4対1)まで削減する新しい誤り訂正符号ファミリー。
CRQC暗号学的に有効な量子コンピュータ(Cryptographically Relevant Quantum Computer)。実際の鍵に対してShorのアルゴリズムを実行できるもの。まだ存在しません。
Q-DayCRQCが実運用中の公開鍵暗号を破る日。Google:2029年までに到来する可能性あり。
HNDL今収集して後で復号化(Harvest Now, Decrypt Later)。暗号化データや公開鍵データを今日記録しておき、後で解読する手法。進行中であることが確認されています。